特集
「特集」ではキャスターや記者、ディレクターが社会問題に鋭く切り込みます。
ここ数年、団体旅行が減って、それまで団体旅行に主軸を置いていた旅行会社や宿泊施設の経営が悪化しているニュースをよく耳にします。今日はそんな旅行業界の新しい動きに注目します。
今日お伝えするのは『お一人様の旅』です。
一人旅って、ちょっと寂しいイメージがありますよね。しかし、最近は団体旅行というものの人気が下がってきていて今は個人旅行が増えつつあるんです。
そして実際にお一人様限定という旅行プランが増えています。浜松の旅行会社で伺いました。
浜松市にあるこちらの旅行会社には多くの一人参加限定を謳った旅行パンフレットがあるんです。
旅行会社の方にお話を伺ってみると
「一人で参加したいという声を参加したお客さんからたくさん頂いていて、その中で全員が一人で参加できるお一人様限定の旅を作ったらどうかということで始めてみました。まだ3年ですが、最初は500名くらいの会員から始まったものが、今では2000名を越える方に会員登録してもらっています。」
とのことでした。
3年で会員数が4倍に増えた一人限定ツアー。今では海外旅行もあります。
そして、宿泊業界でもお一人様を受け入れるところが出てきているんです。
ここは伊豆長岡温泉にある創業100年の老舗旅館です。
老舗旅館の一人で一室という部屋、どんな部屋なのか案内してもらいました。
普段は2人で宿泊している部屋ですから広さは十分ですし、景色もなかなかです。
一人一室で宿泊するとすごく割高というイメージなので今の老舗温泉旅館で1泊6000円はびっくりです。
1泊6000円は平日で温泉はあるけど食事なしという一番安い設定ですが、南山荘では6年前からこうしたお一人様の宿泊プランを始めたそうです。景気がよかった時は平日でもお客が入ったため、一人一部屋は効率が悪く、値段を上げたりしていましたが景気が悪くなってからは平日、部屋が空くことが増えてきました。それなら、お一人様のお客でも入ってもらった方がいいと考えるようになりました。
それも、割高にするのではなく、セルフサービスは多くなりますが気軽に泊まれる価格設定にしたというわけです。
こちらの旅館ではフロントの人件費を削ることで1人1部屋でも料金を上げずに気楽に利用してもらえるよう工夫していました。
それから、浜松の旅行会社のお一人様限定ツアー。自分は一人で申し込むのに他の参加者は友達同士や家族連れだと気が引けるし、勇気いるという話、よくわかります。しかし、このツアーに参加する人は全員一人なのでその辺は安心して、という狙いなんです。
そして、そのお一人様限定ツアーの会員の年代別の割合をみると50代以上、しかも女性が圧倒的に多いんです。
実際にどんな様子なのか、伊豆のあるツアーを覗かせてもらいました。
観光地っぽくないところに停まるツアー旅行のバス。降りてきたのは白装束の人たち。これは伊豆半島の寺院をお参りする伊豆八十八箇所巡りのツアーです。
この日の参加者は20人。一人で参加申し込みをしたのは7割にあたる14人でした。
まず巡礼の証になるご朱印をもらいます。そして、巡礼のツアーなのでこのように般若心経などのお経を唱えたりもします。
そして、巡礼の合間にはもちろん昼食時間もあります。巡礼から離れ、ほっとする食事の時間。
一人で参加している男性が周りの参加者に話しかけ始めました。一度会話すると本当にみなさん、和やかな雰囲気で食事や会話をされています。本当に初対面の人も多いんですがよそよそしい感じはしませんでした。
こちらのツアーを企画した会社の方は
「人間関係が希薄になっている部分が多いので、インターネットや携帯電話が普及するにつれて、対面しなくても済んじゃう時代なのに、昔そういう形でコミュニティを取っていたものが重んじられているような気がする。ビジネスとしては、はっきり行って一回に団体で来てもらった方が、手間もかからないし、それはいいと思う。でも、今は世の中の主流が団体旅行から個人旅行になっている中で、目的を持った旅行を作っていかなくてはならない。」
これまで、8回も一人限定ツアーに参加したことがある浜松市の主婦望月時枝さんはその魅力をこう話します。
「最初の時は期待半分、不安半分で参加したけど、バスに乗って座ると色んな話し声が聞こえて、座ったとたんにお友達になる、そういうのがすごくいいなって・・・」
知らないもの同士、かえって気楽に話ができる面もあるようなんです。 旅そのものを楽しむのと同じようにその途中で友達が増えるのも楽しみの一つなんだそうです。
一方、こちら、旅行の雑誌や時刻表を並べているのはツアーではなくすべて自分で手配して行く一人旅に夢中という大高さんです。
大高さんは日本全国のお菓子で食べたものをしおりに貼っています。大高さんにとって一人旅の魅力は何なのかというと・・・
「一人で行くと寂しいとか孤独と言われるけど一人の方がのんびり自分にあったところにいけるし、嫌ならすぐ帰れるし、いいと思います。」
しかし、大高さんは旅の後の付き合いも大切にしています。電話で連絡をとったり、お礼の手紙を送ったり人とのつながりは疎かにはしていません。
一人旅は、友達と旅に行くのを楽しむのではなくて行った旅先で友達を作るのが楽しいそうです。一人旅をツアーで楽しむ望月さんも本当に一人で楽しむ大高さんもその点は共通でした。
また、旅先で人と知り合うというのは旅情も加わっていいものですから年配の方に特に人気があるのいうのもわかるような気がしました。

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