Vol.37 旧伊平銀行 (浜松市北区) 屋根に打ち出の小づち
浜松市中心から国道257号を北上し続けると、同市北区引佐町伊平にたどり着く。国道東側に並ぶ商店街に、打ち出の小づちときんちゃくの形をした屋根瓦が特徴の「旧伊平銀行」がひときわ目立って立っている。
明治30年代に誕生し、地元資産家らを相手に長年黒字経営を続けた。繁栄を象徴するような特殊瓦をはじめ、モルタルの頑丈な外壁やしっくいの内壁は建築時のまま今に残る。
板金で造られた玄関のひさしもその1つ。同町の一級建築士中井洋さん(65)は「1枚1枚慎重につなぎ合わせてある。建物全体を通し大工の作業が丁寧だったことが伝わってくる」と感心する。
大正時代以降は農協の有線放送局などとして使われ、昭和40年代の国道拡張で近所の池田みつよさん(74)一家が移り住む。窓口だった玄関や高さ約4メートルある居間の天井―「維持は大変だけど貴重で改築したくなくて」。銀行の面影はいつまでも受け継がれていく。(2008年9月4日静岡新聞朝刊掲載)

