Vol.25 愛宕下美術館(掛川市横須賀) 奉仕の精神今も息づく
旧横須賀街道から北側の小道を歩くと小さな洋館がある。愛宕下美術館(掛川市横須賀)は昭和5年、地元出身の元商社マンで社会奉仕家の三枝基(もとい)氏が建てた。
三枝は沼津市の偉人江原素六翁の書生などを経て現在の三井物産に勤めた。総合商社「遠興」(掛川市)の元会長で養子の高次さん(82)によると、「古里に文化の薫りがするものを建てたい」と私費で美術館を建て、図書館も隣接させた。
館内は明治期からの絵画や書など三枝が集めた名品が並ぶ。建物は当時20歳で建築を学んでいた地元の江川伊太郎が設計した。「当時この町ではなかった洋風の建物で、中にはしっくいの飾りや大きなガラスもあり、三枝さんの心の広さがうかがえる」と「すまいの研究会」会員で1級建築士の芳野康広さん(45)。
西洋に建築を学んだ若者を登用し、美術鑑賞や読書の場を開放した三枝の、奉仕と進取の精神がひしひしと伝わる。
