Vol.10 割烹旅館「吉野屋」(浜松市北区) 茅ぶきの野島青茲生家
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浜松市北区の細江町商店街を姫街道沿いに西へ進むと、「細江神社」の脇道奥手に同町出身の日本画家、故野島青茲(せいじ)の生家である割烹旅館「吉野屋」が現れる。 |
「昭和初期に宿として始まって以来、長年東京などからの常連客に愛されてきました。当時茅(かや)ぶき屋根は町内に多数ありましたが、現在残るのは旧引佐郡でも1、2軒。最初はおしゃれな建物として話題を集めた旅館ですが、ストーブもテレビもなく、近年は宿泊客がほとんどいないそうです」
細江の郷土遺産に詳しいグラフィックデザイナーの上嶋裕志さん(56)が説明する。
「帳場で待ち受けるおかみ、丹念に手入れされた庭園、春先に咲くアンズの花、計3回ふき替えられた茅ぶき屋根。どれも町の宝物としていつまでも残したいですね」
庭は青茲の昔の遊び場で、現宿主はおいの良弘さん(56)。尋常小を出て上京し、絵に生涯をささげた青茲思い出の地は、茅ぶき屋根とともに昭和初期の空気を今に伝える。(2008年2月7日掲載)
