Vol.9 日本基督教団・気賀教会(浜松市北区) 木造に宿る深い信仰
江戸時代、地域一帯の木炭や食品の物流拠点として栄えた浜松市北区細江町。姫街道と交差する商店街「清水通り」の裏通りに入ると、周囲とは趣が異なる洋式の日本基督教団の教会が待ち受ける。
「大正5年(1916年)に建てられ、水害や地震も乗り切ってきた教会ですが、老朽化などのため昨年初めて外壁を塗り替えました。当時県内で最もキリスト教の信仰心の厚い地域の1つだったのが細江町で、信徒からの土地の寄付で建てたそうです」
清水通りで育ち、現在は建築物の完成予想図を手掛けるグラフィックデザイナーの上島裕志さん(56)が説明する。
「木造の内部は建てられた当時のまま。賛美歌を歌う壇上、アールデコ調の窓、長いすも何一つ変わらず残っている。大変貴重な空間です」
教会前には仲田小路が続く。昭和初期に建てられた長屋が数軒残り、日中はお年寄りの談笑の場。車がせわしなく走る大通りの脇道で、きょうも昔と変わらないゆったりとした時間が流れている。(2008年1月31日掲載)
